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おぼろげながら浮かんできたんです
無事に診察をしてくれる病院が見つかり、ひとまず胸を撫で下ろした。
しかし、その安心も束の間。問題の解決は新たな問題の種となる。
3番目にかけたということは、家から病院まで、最も遠いことを意味する。
その距離、約25Km
これを近いと感じるか、遠いと感じるかは個々の読者にお任せする。
ただ、私なりにその距離感を説明するならば、
「25Kmということはつまり、メートルで表すと25000m」
このような距離であると言うことができるだろう。
おぼろげながら浮かんできたんです。
25000という数字が。
価格:1,047円 |
う〜ん、さっぱりわからん。
え?ちがうよ!レジ袋を有料化した理由がわからないってことじゃないって〜。
あ!!!
今、「お・も・い・つ・き。おもいつき〜。」とか言った奴!
消されるぞ。
気をつけろ!
現在時刻は23時過ぎ。
バスも電車も既に終電を迎えている。
となると、私に残された移動手段は自転車と二足歩行の2択である。
大都会東京から車社会へ放り込まれて早半年。
車を所有していなければ、生活の利便性が著しく下がる地域で暮らしているにも拘らず、私は未だに車を買っていない。
それには理由がある。
環境問題だ、SDG’sだなどと理想論を語りながらも、テクノロジーから抜け出せない現代人へのアンチテーゼとして、私は自分自身を酷使する道を選んだのだ。
ガソリン車を無くす前に自分の脚を使え、人間共よ。
選択肢1:二足歩行
いや、全然走れない距離じゃないけど、時間がかかり過ぎる。
選択肢2:自転車
全力で漕げば1時間ぐらいだけど、これも現実的じゃないしなぁ。
うーーーん。
よし、
タクシーで!!!
文明の利器最高!!
こんないいもんがあるのに使わないなんてありえないでしょ!!!
何故人類が産業革命を起こし、ここまで文明を発達させてきたかわかるか?
楽したいからだよ★
自分の脚なんて使ってられるか!!
はーーい、次はタクシー会社に電話でーす。
今日はよく電話するな〜。
配車の電話をして、待つこと約10分。
玄関前にタクシーが到着した。
ドアが開き、乗り込むと同時に私は行き先を運転手さんへ告げた。
「夜遅くにすみません。〇〇病院までお願いします」
「〇〇病院?わかりました」
運転手さんは、「この若僧はこんな時間に病院まで何しに行くんだ?」という疑問を言外に滲ませていた。
空気の読める私はすかさず、こう付け加えた。
「ちょっと急患で(笑)」
これを聞いて運転手さんは合点がいったよう。
「あー、なるほど。こんな時間に呼び出されるなんて大変ですねぇ」
ん?
別に呼び出されてはいないが??
むしろド深夜に押しかける側なんだが???
行間の読める私は、すかさずある結論にたどり着いた。
あ〜、こりゃあ俺のことを急患で呼び出された医者だと思ってんなぁ。
タマが腫れている以外はなんともないのだから、病人側だとは思わないわな。
そうとわかれば、こちらの返答も自ずと決まってくる。
「いや〜、まぁそうっすね(笑)」
もちろん乗っかる。
その後、病院までの約30分間の車内、俺は急患対応のために呼び出された若い医者のフリをしたことは言うまでもない。
「いや〜」「ははっ」「まぁそうっすね」の3語を駆使すれば、大体の人物になりきれるもんである。
ぜひ試してみてほしい。
次は夜中に原稿を取りに行く編集者とかやってみようかな。
そんなくだらないことをやっている最中、俺は運転手さんに恐る恐る質問をした。
「料金っていくらぐらいですかね?」
ちなみに俺は、最寄駅から一人暮らしをしている自宅まで、2キロの道のりをタクシーで帰ることがたまにある。
その際の料金は大体1100円ぐらい。
それを踏まえると、25キロの料金なんて想像もしたくない。
「そうですね〜、深夜ですし1万円ぐらいはいっちゃいますね〜」
Oh… 往復2万円…
まじ?経費で落ちないかな、これ。
だって急患で呼び出されたから行ってんだよ、こっちは。こんな深夜に。
ねえ?運転手さんもそう思うでしょ??
落ちるわけがない。
何故なら私は急患で呼び出された若い医師ではなく、タマが腫れただけの男なのだから。
落ちそうなのはタマの命である。
1万円か…
タマのために交通費だけで片道1万円。
実家の埼玉から今住んでいる場所まで、約600Kmの高速料金ですら8800円だぞ…
そうか!
だから金玉っていうんだ!!!
玉は金なり。Tama is money.
たぶん違うね!
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